主演抜擢
吉田修一さんの「路(ルウ)」を読んだ。
日本の車輌が台湾を走るという台湾新幹線のプロジェクトが題材で、複数の登場人物それぞれの物語を描き、彼らはどこかで繋がっているという話。少し前にNHKで実写化されたらしい。
後輩(同僚)が私に貸してくれた。
なぜ彼が私にこの本を貸してくれたのかなと思いながら読み進めていると、台湾現地で働く商社勤務の春香は私なのではないか(厚かましい)と思った。
物語のスタートは春香は社会人4年目で、私だ。間違いない(厚かましい)。当たって砕けろ精神のところも、熱量と勢い勝負のところも似てる。
後輩に確認した結果、案の定私が春香だと思ったから貸したということだった。
私は春香なので(?)春香の話をメインに話したいと思う。主演に抜擢頂き感謝しかない(厚かましい)。
日欧混合のシステムを導入した台湾新幹線は、日本で通る基準が欧州規格では通らず、顧客承認に多大な時間と労力をかけており、国の時間感覚の違いもあり、予定通りに進まなかった。春香はその中で実に7年間、台湾駐在をし、毎日奮闘していた。
春香は、たまたま昔台湾旅行で出会ったエリックを忘れられなくて、エリックも春香を忘れられなくて、互いに影響を受けた結果、春香は台湾、エリックは日本で働いていた。
NHKのドラマでは、春香がエリックと恋人の繁之と対し、とても悪い女として描かれてしまったようで、原作ではそんなことないので許してください(?)
プロジェクトの仕事、地味な作業の積み重ねでも、その先には台湾新幹線開通という、国家プロジェクトの成功が待っている。私も春香になりきって、もう少し頑張ってみようと思えた。
本を読むのは得意ではないけど、前にも書いたが誰かの人生を生きられる気がして、得した気分になる。
ありがとう後輩。
追伸:
菊池正登さんの、『海外取引の成否は「契約」で9割決まる』を読んだ。
日頃から国内外の契約に触れる機会は多いが、契約で大切なことが沢山書かれていた。
私が学んだエッセンス3つはこちら。
①あらゆるパターンの最悪の事態が発生した時に、契約に立ち返り判断をできるような契約を締結する
②力関係があろうが、お互いフェアな契約を締結する
③契約よりも優先される現地の法制度を理解する
(④訴訟で勝ったとしても、多大な時間と費用と労力を使う。裁判所は判決の賠償金額の回収まで面倒を見てくれるわけではないので、買っても結局費用を回収できないこともある)
3つと言いながら4つになった。笑
エリー
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