感情の波
韓国のソン・ウォンピョンさんが書いた「アーモンド」という本が本屋大賞を受賞したと図書館で紹介があり借りて読んだ。
とても引き込まれる本だった。
生まれつき感情を感じることができない主人公ユンジェと、非行少年の友達ゴン、その周りの人たちの話。
ユンジェは、感情を感じられないからこそ、どのような感情がどのように生まれるのかを、人の行動や経験から常に観察し考え理解しようとした。
その中で人の感情の虚しさや矛盾について考え、自分の生き方についても考えた。
「あまりにも遠くにある不幸は自分の不幸ではなく、遠ければ遠いでできることはないと言って目を背け、近ければ近いで恐怖と不安があまりにも大きいと言って誰も立ち上がらない。ほとんどの人が、感じても行動せず、共感すると言いながら簡単に忘れる。
僕はそんなふうに生きたくはなかった」
誰もがはっと思う言葉だと思う。
感情はあっても行動ができない私たちと、感情はないけれど行動をするユンジェ。
ユンジェの方がよほど感情豊かではないだろうか。
人と比べて何かその人にできないことがあっても周りは受け入れるべきだということ、そしてユンジェのように人よりも努力して人の感情を学ぼう、知ろうとしている人がいたら、その人はもともと感情を感じられる人をはるかに超越することを学んだ。少なくともユンジェはそうだった。
筆者は後書きで、こう書いた。
「ちょっとありきたりな結論かもしれないが、でも私は、人間を人間にするのも、怪物にするのも愛だと思うようになった。そんな話を書いてみたかった。」
「惜しみない愛によって、精神的に満たされた人生をプレゼントしてくれた両親と家族に感謝する。平穏に過ごした成長期の中で受けた応援と愛、無条件の支持がとても有り難くて貴いことなのだと分かった。」
以前、本を読むと違う人生を生きることができると私は述べたが、今度は私も物語を書いて実現したい世界を描こうかなと思い始めた。そうすれば本当に夢が叶うかもしれないし、二つ目の人生を生きられるかもしれない、本を書くのは、そういう夢や理想を叶えることもできるんだなと思った。
そう思わせてくれるのも、精神的に満たされた人生をプレゼントしてくれた両親と家族のおかげなんだなと思った。
ユンジェが本を読むのは、本は映画と違って、文字で表されたことを読者が映像として想像するので、読者それぞれの理解により表現される形が様々になる、その空間が美しいし解釈の余地が残っているのが好きだからだそうだ。
私は本を読むのは得意ではないが、もっと感性や想像力豊かで人間として奥深い人になりたいので、これからもコツコツだが本を読んでいきたいと思った。
私は感情の波がありすぎる人なので、特に涙に関しては自分でコントロールできなくてよく泣く。
周りに対しても良くないよなぁと思いつつ止まらないので涙を流してしまうのだが、そういう感情の波を感じられるのも有難いことなんだな、この感情をユンジェのように行動に繋げないとなと思いながら本の最後では泣いた(安定)。
追伸:
最近、フロムの「愛するということ」も読んだ。理由は明快、ゆうこすが読んでいたから。
私の理解力不足か、同じような話で結論がないまま堂々巡りだった気がする。
最後に結論が出てきた気がしたが、愛とは信じることだそうだ。
自分が自分と相手を信じるから愛することができる。そのためには自らの歩み寄りが必要。それが誰かを愛するということ。
エリー
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