町散歩
前に朝日新聞寄稿で書いたが、私は帰省した時は朝日新聞ヘビーリーダー(ユーザー?)になる。
ゴールデンウィークに実家に帰省し、いつも通り朝日新聞ヘビーリーダーになっていた。1面にある天声人語は、毎日掲載されている時事コラム。ニュースと同時に、季節の話題や旬の話題を扱う。603文字、6段落とルールがあるのが特徴。2段落目まで読んで面白くなければ執筆者の負けだそう。
その天声人語に、ゴールデンウィークは近所を散歩しよう、車や電車で通り過ぎれば道はただの通過点でも、歩行者になると自らが景色の一部になる、新たな発見ができると書いてあった。
ゴールデンウィークは仕事などで父も母も外に出ている日があって、もちろん愛車のホムナイ(原付)も留守番させているので、小学校の通学路を経由し、昔通った幼稚園、保育園、中学校の通学路を寄り道しながら歩いてみた。幼少期の記憶は無いが、薄い記憶を蘇らせた。この場所たちに自分の十数年間が詰まっていたことを感じた。天声人語に感化され、その道を歩いて感じたことを記したい。
定期的に実家には帰省するが、今の帰省ルートにかつての通学ルートは入っていなくて、帰省した時のランニングルートに中学校の通学ルートが一部入っているだけだった。
家が学区の端だったこともあり、小中学校は学区の中で1番遠い地区で隣の学区の学校の方が断然近いぐらいだったのに自転車通学は許されず、毎日歩いて行っていた。
早速出会った人は、歩きスマホならぬ本を読みながら読書ウォーキングしているお爺さんだった。読書はスマホよりも健全だからOKなのか?
小中学校の同級生の家も何件か通った。通ったところは全てまだ存在していた。本人たちが住んでいるかは分からない。
記憶の程度はまちまちだが、見る景色全てに思い出が詰まっていた。
いつも気になっていたお金持ちの大きな家、今でもあるなぁ。
この辺りは新しい家できてるけど、前に何があったか記憶が不鮮明。
小学校の途中でできた舗装された道、もう年季の入った古い道になってるなぁ。
ここの古い集合住宅はまだあるのか。
遊んだことはないけど通り道だった公園は健在。
郵便局も健在。
駄菓子屋は確か小学校か中学校の途中で閉店したけど、今は新しい家が建っている。
同級生の家、健在と思って見てたら同級生と思われる人が出てきた。
同級生の家のお店まだやってるのかなぁ今日はお休みなのかなぁ。
小学校近くの商店街、ついにどの店ももう空いてないシャッター商店街になってる。
姉の同級生の祖父母がやってるカステラ屋さん、建て替えしてて繁盛してる!カステラ屋買っておこう。
あれだけ嫌いだった小学校のプールの匂いが懐かしい。
幼稚園、存在はしてるけどもう閉めてるみたいだなぁ。
保育園こんな広かったんだ、幼稚園と合体して綺麗になってる。
中学校も健在。コロナで部活もやっていないのかな。
10円玉握りしめて実家に忘れ物連絡のために使っていた公衆電話があったコンビニ、形は変わってるけど残ってる。
靴屋さんも自転車屋さんもまだある。
町で1番大きなスーパーも残ってるけど、パン屋はなくなってる。
習字の先生の家あった、まだ習字教えてるのかなぁ。
町を歩いたことで、気づけば帰省をしても電車と家の往復で、それ以外の過去自分が過ごした地元には帰っていなかったかもしれないなと思った。
他の日に、初めて近所の山を登った。なかなか登りごたえのある山で、4時間かかった。見下ろす町は、私が育ってきていつも過ごしてきた町だが、角度が違えば全く違って見えた。近所の散歩、オススメです。日本人が意外と日本の説明をできないのと同じで、こんなに長く住んでいても自分が知らないことって沢山あるなと思った。
追伸:加藤シゲアキさんの直木賞候補になった話題の最新作品、オルタネートを読んだ。
公式のあらすじ(ネタバレ無し)はこんな感じ。
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。 東京のとある高校を舞台に、 若者たちの運命が、 鮮やかに加速していく。
全国配信の料理コンテストで巻き起こった〈悲劇〉の後遺症に思い悩む蓉(いるる)。 母との軋轢により、 〈絶対真実の愛〉を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津(なづ)。 高校を中退し、 〈亡霊の街〉から逃れるように、 音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志(なおし)。 恋とは、 友情とは、 家族とは。 そして、 人と“繋がる"とは何か。 デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、 三人を待ち受ける未来とは一体――。
小説を書こうとしてる身からすると(書きかけて停滞してるから進めねば。。。)、料理や音学、色んな知識、発想が無いと作れない本なのですごいなと思った。こんな発想はどうやって沸き起こるだろう。特に蓉が参加した料理コンテストは緊張感があってよかった。えみくのキャラクターが好きだったので私がこの本の映画に出るなら、えみくを演じよう(笑)。
とても偉そうな感想を言うと、SNSオルタネートの幅をもっと広げればよりダイナミックな作品になると思った。折角SNSを使っているのに、SNS無しでも繋がる可能性のある同じ高校生徒メインの範囲で終わっていたのは勿体ない気がした。それは、料理、音学、恋愛、友情、家族、色んなものを盛り込んでいるので限界はあったのかもしれない。
エリー
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