東京大学入学式 祝辞を読んで

平成31年度東京大学学部入学式で、認定NPO法人 ウィメンズ アクション ネットワーク理事長の上野千鶴子さんが述べた祝辞が話題になっていると聞いた。世間の動きに敏感ではないため、話題になっているのをニュース等で見たのではなく、人から聞いた。


全文を読んで、このような話を入学式の祝辞でできる東京大学は、やはり素晴らしい大学だなと感じた。ただ学問の最高峰であるだけでなく、そこで学ぶことのできる自由度の高さや多様性の尊重を表しているように感じた。


私が心に残ったのは次の2つ。


①東大の女子学生は自身が東京大学生であることを隠す


その理由は、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからだと上野さんは述べている。女性が愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれているため、自分が相手よりも成績が良ければ価値は下がるということだ。


このことについては、東京大学に限らず、他の大学出身の女性からも聞いたことがある。自分より偏差値の低い大学の男性とは付き合えない。それは自分が嫌だからではなく、相手に嫌われるからだ。相手をけなすつもりは全く無くても、出身大学がばれたら、相手から嫌味を言われる。


私自身は今自分を置いている、自分が選択した環境の中では、あまりそのような場面には直面しないが、環境が変われば同じことになると思う。すごく生きづらい世の中だなと改めて感じた。


②頑張ったら報われると思えることが、恵まれた環境のおかげである


「がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。」


これは、読んだとき自分に重ねてしまって思わず涙が出そうになった。それは、頑張っても公正に報われない社会を目の当たりにした涙ではなく、大学を卒業するまで、そして今でも、私を励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれた家族の存在や、支えてくれた周りの人を思い出したからだ。


社会人になる前から、頑張っても報われない環境は見てきた部分はあるが、これからもっと理不尽な世の中に直面することと思う。そんな時は、理不尽だと思えるこの感情こそは、これまで私自身が恵まれた環境にいたことの裏返しなのだと思うようにしたい。


インターネットで祝辞に対する声を調べてみると、「入学式で言うことなのか」という批判の声もあったが、私はそうは思わない。冒頭にも述べたが、東京大学は素晴らしい大学なんだなと、改めて感じた。上野さん自身も、私をこの場に立たせた大学ということが東京大学の価値であるというようなことを述べていた。


今年東京大学に入学された方は、私と小学校も被っていない年代かと思うとぞっとするが、いつか一緒に仕事をしたり、関わったりできたら嬉しい。

ご入学、おめでとうございます。


エリー

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