当たり前を疑う

桐野夏生さんの「東京島」を読んだ。
図書館でお薦めに並んでいて、タイトルに惹かれた。映画化もされたらしい。

無人島のトウキョウ島に辿り着いた男23人、女1人の日本人集団を中心とした複数の集団が、集団内、集団間で協力、分裂を繰り返す話。

ネタバレをしない範囲で小説の感想を述べるって割と難しいけど、記録しておきたいことがあったので少し悩んだが読書感想文単独リリースすることにした。

人を助けること、権力者とは何かを考えさせられた本だった。人助けや権力者の分野って大学の心理学の卒論のテーマと被ってる。

無人島、外部の助けはいつ来るか分からないという極限状態で、本当に困った時に自分も困っている中助けてくれる人はいるのか。私自身は人を助けることをできるのか。
最終的には人間は自分を守るのかもしれない。
人間の本当の姿について考えさせられた。

人は富を持つと権力を持つ。富を失った途端、地位や権力全てを失う。本当であってほしくは無いけれど、この島はそうであった。

リーダーだと決められた人、思われた人、見なされた人、言い出した人にみんなが従う。けれど、ある時一瞬でその構図が崩れる。リーダー、権力者は不確定要素で儚いもの、危ういもの、すぐに崩れるものだと感じた。
社会構造と照らし合わせて考えた。

この世でリーダーだと言われてる人は本当にリーダーなのか?そういう目で見てみた。
私たちは上の者に従えと言われ育ったが、上の者って本当に上の者なのか?何をもって上の者なんだ?その構造図自体が不確定要素の中に在るものではないのか?ある特定のフィルターを通して見ているだけではないか?

反対に、何かを定義付けなければ、この世の中は何も決まらなくて、正誤考えるのでは無く、そういうものだと定義付けないと何も回らないとも思った。
権力と定義付けられた者がいることで指針となり、全体が纏まるのだと思った。

レビューを見たら批判的なものが多かったが、私はそんなに頻繁に本を読むわけでは無いので、ストーリーに流れがあって読むのは退屈しなかったし、良かったと思う(平凡すぎる感想失礼します)。

人より全然本を読めていないれけど、読んだ本に対して何かを考え得るようにして今後も前に進みたいと思う。

ちなみにのちなみだが、大学時代一度だけ無人島に5人ぐらいで手漕ぎボートで行って一泊したことがある。
この本のように本当に何年間も無人島生活になるなんて考えられないが、自らが自らの意思で得る機会として、デトックスというか、サバイバル系、生きてるって感じる系、日々の生活に感謝する系のアクティビティとして、キャンプのみならず、無人島生活って悪くない。

エリー

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