高校入学10万円
高校入学の際に、父から10万円をもらう約束をしていた。いやそれは明らかな契約だった。どこの高校に入学しても良いのでは無く、学区内の公立高校では1番の進学校に進めば10万円をもらえるという契約。
小学校か中学校の時、ふと思い立ってメモ用紙に書いた。
「誓約書
○○高校に受かったら父は私に10万円を支払うことを約束する
父のサイン欄 XXXX」
無理だと思っていた父は迷わずサインをした。よくよく考えたら父に何のメリットもないのに。笑
私は姉のように運動もできなければ賢くなかったので、父は無理だと思っていたそうだ。父の見通しの甘さは明らかだが、その日から冷蔵庫にはその誓約書が貼られていた。
簡単ではなかったが、東大入学のようなハイレベルな話でもなければ、日々の真面目な授業態度で授業の内申点オール5は取れるし、努力をすれば私みたいな不器用代表でもその高校に入ることができた。
ちなみに高校入学後に、「東大に受かったら100万円」の誓約書を提示したが、父はそれにはサインしなかった。私は東大からは程遠い人間だったので、結果論で言えば父はサインしていようが受からなかった。
10万円を支払う義務が生じてからは、父は(正確には母が管理をして)約束通りに毎月の小遣いから一万円を減らし、10ヶ月をかけて10万円を支払った。それをずっと母が預かっていた。
私は特にこれが欲しいというものも無かったし、何より10万円は家族が自由に使えるお金として置いておきたかった。旅行など家族で出かける事あるごとに、あの10万円使う?と言っていたが、結局使わず10年強が経過した。先日、家族で出かけたので、お母さんあの10万円持ってきてね!と頼んで、7万円ほど使った。残りは3万円。
よくよく考えると、高校時代、周りに東大や京大に入る人は数人いた。その人たちにテストの点数で上回ったことは科目や時期は限定されるが何度かある。ということは、私だってポテンシャルはあったということなのかもしれない。と言い出すと飛躍しすぎない論理展開でも、世の中全員に東大京大入学のチャンスがあると思う。
大学を例に取ったが、到底無理そうに思うことだって、意外と手を伸ばしたその先にあるのかもしれない。
今となっては父は私が何を成し遂げることももう疑ってはいない。それほどに意表をついた高校入学の10万円。多分私が宇宙飛行士になったら100万円、アメリカの大統領になったら100万円でも父はサインしないと思う。
最近になって叶えられそうで難しそうな夢ということで、「総理大臣になったら100万円」を父に提示したが、サインしてくれなかった。よほど高校の10万円が痛手だったのだな。私は総理大臣になれるのかなぁ。そもそもなりたいのかなぁ。
父は私の可能性全てを今や信じている。
だからこそ、以前言ったこと(以下リンク記載)と被るが、私たちは何でも成し遂げられる可能性を持っていると思う。誰が無理だといっても叶えるのは私たち自身だ。環境要因だって大きい。親や周りのバックは偉大だ。でもそう言っていたって何も始まらないし、無理だと言われることを成し遂げる方が面白いではないか。
私だってできるんだということが、誰かの希望や勇気になればいいではないか。私たちが人生をもって証明すればいいではないか。
自分が自由に使ってしまう前提が無ければ、そのような10万円、100万円イベント契約は家族公認のへそくりという形で幸せをももたらすかもしれない。
エリー
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