久しぶりに話そうよ
「女ともだち」という、女友達に関する五話の短編小説を読んだ。
一番印象に残ったのは、一話目の角田光代さんの「海まであとどのくらい?」
過去同じ派遣先で働いていた派遣仲間が久しぶりに会うことになった話。主催であるライターとして成功したのりちゃんが、過去派遣先で不倫の駆け落ちをしようとして相手に断られた話を振り返っていた。不倫の話が心に残ったわけではなく(思い当たる節があった場合ヤバい笑)、過去どこかで接点があった人と、再び何年後かに会うということが心に残った。
主人公は、「久しぶりに会うことになったが、自分だけ変化のない毎日を過ごしていて、会うことに若干の引け目を感じてしまう。」と言っていた。
わかる。過去の友達との関係性は、私は続けたいタイプで、あまり誘ってはもらえないので(汗)、自分から声をかけることが多いが、自分から声をかけておきながら、自分だけ何も成し遂げてない(何かを成し遂げることに人間的価値を置くことが正しいかの議論も必要だが)、話すことが無いとなるのが不安でもある。
みんなの活躍を見て刺激をもらいたい気持ちと、比べてしまって劣等感に襲われる気持ち。又は、もっと自分は伸び伸びと気楽に生きるべきだなと影響を受ける気持ち。色々ある。何かを話すとしても、私は常に考えてしまうタイプなので、悩んでることとか、苦しんでることを話す人も選ばなければならない。少なくとも解決して前に進むのは私自身でしか無いことは一番分かっているし、話すことによって相手をネガティブな気持ちにさせることは私も望んでいない。
ゴールデウィークは、何人かの女友達とオンラインで話す機会があった。
1人でのstay homeであったが、意識的に毎日誰かとはオンラインで話すようにしていた。(半分は家族だが。)ネット環境にも依存はするが、テクノロジーの進化はすごいもので、オンラインでも顔を見ながらほぼ普通に話せる。もう距離を言い訳にする時代は終わったな。オンライン配信の話はまた別でブログを書きたいと思う。
女友達は(女に限らずだが)、私にとってすごく大切な存在だなと、改めて感じた。
ちなみに他の話を簡単に説明すると、
第二話 野江さんと蒟蒻
...派遣社員の野江さんが蒟蒻炒めを作るのが上手で、社員が家に作りにきてもらう話
第三話 その角を左に曲がって
...派遣先で、他部署のバリバリ仕事をできる女性社員と仲良くなった話
第四話 握られたくて
...変わりのない派遣社員生活を送っていた中、釣りが趣味の男性を紹介してもらう話
第五話 エイコちゃんのしっぽ
...派遣先の男性社員から嫌がらせされた時、親友のエイコちゃんが助けてくれた話
ご覧の通り、なぜか派遣社員が主人公のものばかりだった。派遣社員が正社員、特に女性正社員の悪口や文句を裏で言っていると書いてあって、あぁ、まぁそうなるよな、怖いな〜と思ったことはおまけの話。
入社した会社の配属先や部署によって同じ会社でも全然雰囲気も業務も異なるのに、派遣社員は派遣される会社から違うのだから、期間限定といえど、そりゃ派遣先リスクは大きいよなと思う。あとは、どの社員につくかによっても全然違うと思う。実際、本の中ではハズレ社員にあたって辞めることになった話もあった。社員の文句になるのは仕方ないなぁと思ったり。
私は受け入れる会社側の人間なので、少なくとも、過去の私みたいに、人間関係とか、業務と関係の無い無駄なことで悩み苦しんで欲しくはないし、指示する社員側が、人格者で在ると同時に、この人の仕事なら一緒にやってもいいかなと思ってもらえるような、「狂気と手伝えるポイント」が同居している人で在らなければいけないなと常に思っていて、この本を読んで改めてそう思ったのはおまけ2つ目の話。
エリー
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